2017年7月9日日曜日

2017都議選 選挙結果から考える② 共産党議席増の背景

 今回の都議選でなぜ共産党は「埋没」せず、「議席増」できたのか。その背景を考えてみたい。

 まず、この4年間の都議団の活躍がしっかりと都民に映っていたのではないか。舛添辞任、豊洲地下空間問題、百条委員会など大きくメディアに取り上げられるときに必ず共産党都議がいたと思う。しかしそれは東京における市民運動レベルでの共産党への信頼を高め、前回並みの支持はなんとかつないでいけるかくらいの程度で、百合子旋風の中で確実に当選につなげるかといえばそうではなかったのではないか。なので下馬評では10~14議席の予想となっていたのだろう。

 では、なぜ共産党は「議席増」の躍進を成し遂げたのか。それは、国政における自民党の失点が影響しているのは明らかだ。都議会自民党の小池いじめや塩対応への批判は都民ファーストに行ったと思われる。国政における反安倍批判票は都民ファーストとともに、共産党にも多く流れ、そのことが共産党の得票増となり、自民党と競り合う結果を出したのではないかと。また、自民党が逆風の中、「共倒れ」をした選挙区もあり、共産党が漁夫の利を得たところもあったはずだ。
 
 しかし、なぜ野党第1党の民進党ではなく、共産党なのか。それは都議選最終週の日替わり失点をする前からずっと反安倍の姿勢を訴え続けていたことと、民進党の都議選前の離党ドミノの姿を見ていた都民としては都議会では共産党という判断だったのかもしれない。これが国政選挙になったときは共産党ではなく民進党に入れる人もいると思う。また、民進党に票が集まらなかった理由は集票マシーンである「連合」が都民ファースト支援で回ったからだろう。

 このような状況で自民を追い詰めきれなかった共産党の強い地域、文京区と日野市。ともに定数2。文京区は215票差、日野市は863票差である。おそらく公明党・創価学会が票を自民党にも回したのではないかということが予想できる。同じ定数2で当選した北多摩4区も共産党の強い地域。しかし、ここは自民党以外にも都民ファースト公認の新人と都民ファースト推薦の無所属現職がいて選挙の様相が違うことが考えられる。ちなみに公明党が出ている定数3で共産党も議席を獲得したのは墨田区と中野区以外の5選挙区で、北多摩1区では1085票差、北多摩3区では646票差で競り勝っている。

 こういった接戦を勝つ上で、反安倍批判票を小池でも民進でもなく共産党が一番安心して託せる政党と選んでもらえる候補者の魅力、日常の政治活動が根底にあったことはいうまでもない。翌日の新宿街宣はそのことを思わせるものだった。

 文京、日野でも競り勝てれば、自民と共産が21議席で並ぶという状況になっていた。NHKの議席予想の幅が大きかったのも、このような状況もあり得るとのことだったのだろう。だったら起こしたかったというのが正直なところである。

 共産党の応援態勢をみると、定数3のほうが幹部の応援が多かったのは勝てそうな定数2よりも定数3が固めきれなかったのではないかと予想できる。そういった中では今の共産党のリアルな現状と直視したほうがよいのかもしれない。

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