2017年7月9日日曜日

2017都議選 選挙結果から考える③ 築地と豊洲の地元の結果から

 共産党議席増の背景を考えてみたが、やはり共産党の訴え-選挙政策が良かったからではという声もあるだろう。今夏の選挙での共産党ならではの政策といえば「豊洲移転反対、築地再整備」だろう。食の安全を重視し、小池都知事の「豊洲移転、築地再開発」に落胆した市民は共産党に投票したことが考えられるだろう。しかし、出口調査では市場移転問題を選んだ人は少なかったとか。

 そこで築地がある中央区、豊洲のある江東区の共産党の結果はどうであったのか考えてみたい。

 まず、中央区。ここは定数1。当初、共産党は候補者を出してなかったが、衆院2区予定候補を築地移転反対の候補者がいないということで候補者を用意した。しかし、都の市場PTメンバーで豊洲の問題点を指摘していた建築士の森山氏が出馬したことで候補者を下ろしたのであった。自民党の現職は離党し無所属で築地再整備を訴えて立候補した。両氏の得票計は1万5578票と2位の自民新人に及ばなかった。築地の地元でも小池氏の考えが支持されたようだ。

 次に、移転先の豊洲がある江東区。ここは定数4。ここの共産現職・あぜ上氏は民主党旋風が吹き荒れ、8議席に後退した2008年の都議選で初当選している。下町でもあり、中選挙区時代は不破前議長の選挙区でもあった。自身も区議を6期努めており、無党派層が増えているが、厳しい選挙で勝ち上がってきたことを考えると比較的当選が見込まれていた選挙区かもしれない。告示日の第一声に国会議員が入ってないとして、大門参院議員が志願して応援に入ったとか。しかし、なかなかNHKで当確がでない。定数3の目黒、豊島、北などで出ても江東ではまだ出てなかった。他区よりも勢いがなかったのではないだろうか。実際、前回よりも得票は増えているが得票率が下がっており熾烈な選挙戦が繰り広げていたのだろう。それも、争っていたのが民進党を離党し都民ファーストの推薦を受け、旦那が民進党衆院議員の柿沢氏だった。

  「豊洲移転反対、築地再整備」という共産党だけの主張が地元で受け入れられなかったのか。想像するに、豊洲移転反対=豊洲は危険な土地という主張が豊洲に住んている人たちにどれだけ納得してもらえたのかという問題がある。つまり、共産党の主張で豊洲全体が風評被害を受けていると思われているのではないだろうか。そこに他区にあった勢いが豊洲の地元では出ず、苦戦しての当選だったのではなだろうかと思うである。

 とは言っても、あぜ上氏と柿沢氏の票差は3900票差であった。都民の新人はトライアスロン関連会社社長の肩書き。東京五輪の会場でもあり、夢のある主張があったと思われる。自民の現職は江東区長の親族だったはず。そして公明現職と続く。地元を悪く言う人より、希望があり、夢のある話のほうが聞いていて気持ちはいいと思う。移転しなくてあの建物が残っても…と思う豊洲住民からしたらなかなか共産党の主張に流れるような気がしないのである。

 党史に刻める「歴史的勝利」=主張が認められたと決め付けるのは危険のような気がする結果でもある。こういうあたりを考えて、どう小池氏の政策判断に向き合うのか。共産党の考えは明らかであるが人口増の無党派層が多い地区を敵に回すようではこの躍進もこれまでになりかねないような気がするのは思いすぎだろうか。

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